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井澤茉梨絵 個展 巨人の化石と絞め殺し植物

2022.5.28(土)-2022.6.18(土) ※土日のみオープン 

13:00~18:00​

井澤茉梨絵の二度目の個展を開催いたします。
本展では、巨人と植物、それらをとりまく生物の関係性を描いた、幅約8mの新作絵画を展示します。

また、6/4・6/5には対話型鑑賞会のイベントを行います。是非お越しくださいませ。

【イベント】対話型鑑賞会 ※事前申し込み制
第1回:6/4(土) 第2回:6/5(日)   各回とも18:00 ~ 19:00

ファシリテーターに小田川悠氏をお招きし、対話型鑑賞会を開催いたします。

対話型鑑賞とは、作品を見て思ったことや感じたことを自由にみなさんでお話ししながら作品を楽しむ鑑賞方法です。

専門的な知識も必要ない為、小さなお子さんから大人までお気軽にご参加いただけます。

・参加費:1000円(当日現金でお支払いくださいませ)

・人数:各回6人程度

・ファシリテーター:小田川 悠氏(アートコミュニケーション「ランドリー」代表)

・申込方法:6/3(金)までに以下のメールアドレスへご連絡くださいませ。

 izawamarie.spacekushigata@gmail.com

 件名に【対話型鑑賞会参加希望】、本文にお名前とご連絡先、ご希望の日程をご記入ください。

space櫛形

〒124-0002東京都葛飾区西亀有1-29-9 地図はこちら

※新型コロナウイルス対策のため、マスク着用と手指の消毒にご協力をお願いいたします。

また、状況によっては人数制限などをさせていただく場合がございますので、予めご了承くださいませ。

発熱のある方、濃厚接触の疑いのある方はご来場をご遠慮くださいませ。

作家コメント

 私が絵画という制約の多い形態を選択している最も大きな理由は、絵画という形態に最も魅力を感じているから…という単純なものです。そして、なぜ絵画に愛着を持つのか、絵画の魅力とは何なのかを追究するために、絵を描いています。

 その一環として、現在は、「適応と反発」という大まかな制作テーマを設定しています。

 私の作品には植物などの生き物が登場し、その生き物たちが助け合ったり、利用し合ったりして生きる様子を描きます。その際、支持体(自分の作品の場合、キャンバスを張ったパネル)の範囲を水族館の水槽のような、制限のある空間、生活環境として考え、その中でモチーフとなる生き物たちが自らの意思で育っていくようなイメージで描いています。

 「適応と反発」とは、これらの生き物同士の関係、そして生き物と環境との関係を表したテーマです。

【​生き物同士の関係】

 本展で展示する新作は、2019年頃よりメインモチーフとしてきた、絞め殺し植物と巨人シリーズの集大成です。

 絞め殺し植物とは、ガジュマルやアコウなどイチジク属の樹木を指して実際に使われる俗称です。森で日光を獲得するために、他の樹木に巻き付いて育ち、やがて元の樹木を枯らしてしまうこともある、というところからそのように呼ばれているようです。

 モチーフには、毎回「個別性と調和」の関係にあるものを選択しています。存在自体もその生き方も全く異なる生き物同士が、同じ環境に必然性を持って存在している状態のことです。今回なら、植物と巨人はお互い利用し合って生きている、という基本構想があります。

【生き物と環境の関係】

 支持体は平面的で逃げ場のない空間であり、複数の生き物が生きるには少々手狭に見えます。一方で、環境に適応しようと工夫したり、反発したりする時にこそ力強さが生まれ、その環境で生きていける身体を獲得していきます。また、生き物の適応・反発によって、環境の形や在り方も浮彫りになってきます。

 全く同じようなことを、現実世界で感じることはないでしょうか? 私たち人間も、家、学校、会社、社会といった、何かしらの枠組みに所属する生き物であり、「適応と反発」という構図は身近にありふれています。

 私が、枠組みを感じやすい絵画という作品形態に愛着を持つ理由の1つは、この「自分の状況とのリンク」にあると考えます。 

 モデルとする生き物の生態を参考にしつつ、上記のテーマを表現するために、独自の設定を加えた架空の物語をもとに絵を描いていきます。しかし、すべてを最初から考えるわけではなく、描いた絵を観察した際に新たな設定や物語が浮かび、描きこみを加えることもあります。

 制作者と鑑賞者の視点を交代しながら、絵に振り回されるように制作が進んでいくのは、大きな作品ならではと考えています。作品サイズが大きいほど、一度に視界に収まる範囲が狭く、しばらく絵に近づいて描いて、離れて見た時には思いもよらない形が見えてくる…という体験が起こるためです。

 その体験を起こす表現と、先述の「個別性と調和」とを合わせて、絵画における「相補的関係」(一方に注目すると一方が見えなくなるが、両方があってはじめて成り立つ関係)とし、この関係を絵画の中で実現することを目標としています。そして、鑑賞する方も同じ体験ができ、より深く・長く鑑賞していただける絵を作ることを目標としています。

 これらのテーマや目標には、私が普段美術館などで絵画を見る時に楽しんでいる要素をピックアップして設定しています。

 特に、相補的関係の構築は以前から心掛けていたことではありますが、コロナ禍でデジタルコンテンツを楽しむ機会が今まで以上に多くなったことで、同時に「現実空間で作品を見ることの楽しさ」を再確認し、鑑賞者・制作者の身体と作品との関係の在り方をさらに追究することとなりました。

 本展では、小田川さまに協力していただき、対話型鑑賞会を開催できることになりました。参加者の方々には、自分なりの視点で見て、自分なりにいろいろ想像していただけると嬉しいです。是非お楽しみくださいませ。

2022.5 井澤茉梨絵 

井澤茉梨絵

1992年生まれ、京都市立芸術大学大学院修了。
置かれる環境や、他者との関係性の中で生まれる「適応と反発」をテーマとし、窮屈さや不自由さを互いに抱える生物群を描く。

そして「支持体」と「絵」はまさに「適応と反発」の関係にあると考え、平面絵画でしか表現し得ない世界を生み出すことを目標としている。
2020年よりアトリエ兼ギャラリースペース「space 櫛形」を運営。

美術鑑賞ファシリテーター 小田川 悠 

アートを身近に感じてほしいという想いから、対話による美術鑑賞を基盤としたアートワークショップを企画開催。

Taguchi Art Collectionのアートカードゲーム「PLAY!たぐコレ」の企画協力と共にアートデリバリープログラムのアドバイザリーや、

ZEIT-FOTO SALONのクリエイティブディレクターなども務める。

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